ごあいさつ

ごあいさつ

 この度,平田幸一教授の後任として2020(令和2)年4月1日付で獨協医科大学 内科学(神経)の第4代教授を拝命しました.私は2001年獨協医科大学卒業後,平田幸一教授が主催されていた内科学(神経)講座(当時の標榜診療科:神経内科)へ入局しました.入局後から今まで,平田先生をはじめ多くの先生方のご指導の下,「獨協」で臨床経験を積んでまいりました.大学院では宮本雅之先生,宮本智之先生,平田先生の指導の下パーキンソン病における睡眠障害に関する臨床研究を行い,疾患重症度を含めた臨床症状との関連を明らかにしました.大学院修了後に留学の機会をいただいた英国インペリアルカレッジロンドンでは,視床下部や消化管ホルモンの食欲調節について基礎研究を行いました.2010年帰国後は主にパーキンソン病関連疾患や睡眠関連疾患の診療に従事し,睡眠を軸にしたパーキンソン病や片頭痛患者の臨床研究,および睡眠関連疾患患者を対象にした臨床研究を行ってまいりました.不眠症は国民病の一つであります.睡眠中にアルツハイマー病の原因となるアミロイドβ蛋白が除去されることが動物実験で示され,睡眠障害が神経変性疾患の発症や病態に関わり,逆に良い睡眠がその発症を予防する可能性も注目されています.睡眠障害と神経疾患の病態との関連性に関して,今後も臨床研究を継続していきます.
 当教室では片頭痛,てんかんや脳血管障害などのcommon diseasesから,アルツハイマー病やパーキンソン病で代表される神経変性疾患,神経筋疾患,神経免疫疾患や中枢神経感染症など幅広い疾患を扱っております.アルツハイマー病を含む認知症に関しては認知症疾患医療センターで精神神経科と連携し,頭部MRIや核医学検査を用いた診療を行っています.パーキンソン病に関してはドパミントランスポータースキャンやMIBG心筋シンチグラフィーなどの核医学やMRI検査のほか,レボドパ持続経腸療法を含むデバイス治療も行っています.緊急入院で最も多い脳卒中に関しては脳卒中センター,脳神経外科と連携し,超急性期脳梗塞に対して血栓溶解療法や血管内治療を施行しております.
 さらに当教室では,睡眠医療センターと連携し,睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査を用いてナルコレプシー,睡眠時無呼吸,レストレスレッグス症候群,レム睡眠行動障害(RBD)などの睡眠関連疾患の診断・治療を行うことが可能です.特にRBDはパーキンソン病,レビー小体型認知症や多系統萎縮症などのαシヌクレイノパチーへ進展する前駆状態として注目されており,確定診断には睡眠ポリグラフ検査が必要です.RBDを対象にした疾患修飾治療の開発が待たれています.
 今後は高齢化に伴い,脳卒中,認知症やパーキンソン病が増加し,脳神経内科のニーズは更に高まってまいります.これらの疾患を正確に診断し治療することができる専門医の育成に力を入れていきます.医療は日々進歩していきます.知識・技術を兼ね備えた臨床研究医には向上心を持ちながら,地道な努力の積み重ねが重要であると考えています.本学建学の精神「学問を通じての人間形成」,そして本学建学の理念にある「人間性豊かな医師の育成」に努めます.患者さんのQOL改善,神経学,当大学の発展に貢献すべく,臨床で生じた疑問を大切に研究にも力を入れていきます.当科の伝統を引き継ぎ,「患者さんの満足度の高い,受診したい診療科」を目指し,他の診療科・地域病院との連携を密接に,高度医療を提供していく所存です.
 最後に,当教室で研修希望の先生がいましたら,臨床はもちろん症例報告や研究論文作成も全力でサポートしますので是非ご連絡ください.皆で楽しく学びながら働ける体制を目指しています.どうぞよろしくお願いいたします.

令和2年4月1日
獨協医科大学 内科学(神経) 鈴木圭輔

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